AIの歴史
第2次世界大戦後、人工知能の概念が誕生。第1次AIブーム従来のAIで解決できないこと
人工知能の考え方は、第2次世界大戦が終わった直後の1957年(昭和22年)に数学の天才アランチューリングが最初に提唱しました。
AIという言葉そのものは、Artificial Intelligenceの略語で、1956年(昭和31年)にダートマス会議でジョンマッカーシーが使ったのが最初と言われています。
この人は、コンピュータ界の神々の一人で、LISPというAI開発でよく使われてきた言語の原理を考案したり、タイムシェアリングというクラウド活用のコンセプトを提唱した功労者です。AIという概念を考えたから色々とディスカッションしようよ、と呼び掛けて開いた会議がダートマス会議です。AIの神様の一人であるマービン・ミンスキー先生も参加していました。
ソ連が民主化運動をしたハンガリーに攻め込んだハンガリー動乱があったりと物騒な時代で、日本はまだ戦争から立ち直れていませんでしたが、その頃に早くもコンピュータ時代が始まっていました。
第二次世界大戦の頃、戦争のために科学者が総掛かりでコンピュータの開発を推し進めていました。戦後は、民間でもコンピュータの利用が始まりました。軍と民間が車の両輪として開発を引っ張っていく状態は今でも変わりません。
その後も、アメリカとソ連が対立していた冷戦が続いていましたので、コンピュータの進歩は覇権国家の軍と民間が密接に連携して進んできました。
そんな中、第1次AIブームが起きました。研究者のビジョンが先行していたので実用には直接結びつくことは少なかったのですが、現在のAIブームにつながる貴重な種が蒔かれたのです。
当時のコンピュータは、今のスマホに載っているコンピュータと比べると赤ちゃん以下の能力しかありません。それでも、電卓もまだ無かった時代には官庁や大企業では重宝がられました。
小さな会社の決算なら算盤で済んでも、計算だけで数ヶ月かかってしまう仕事量がある大組織では、たくさんの人が計算するためだけに働いていたので、計算間違いをせず正確に結果を出してくれるだけでもありがたがられました。
第1次AIブームは、そんな貧弱なコンピュータを土台にしていたので、当時提唱されたコンセプトは現在でも十分に通用するものですが、目に見える即物的な成果はまだ見せることが出来ず、社会からは忘れられた存在になっていきました。
PCの小型化による第2次AIブーム ルールベースのAIエキスパートシステム
ところが、むやみに巨大だったコンピュータの小型化が始まり、PC(パーソナルコンピュータ)が普及を始めると、またもやAIブームが沸き起こりました。
日本でも1980年代はバブルの時代と重なって予算が潤沢だったこともあり、日本でも当時の通産省が第5世代コンピュータの開発プロジェクトを立ち上げました。
第2次AIブームです。単なる計算機でも凄かった時代が第1次AIブームの頃のコンピュータだとしたら、この頃のコンピュータは、国の予算処理などを自動化してくれるのではと期待されていました。
今の深層学習は、勘と経験の必要なグレーな判断を取り込むものです。これに対して、当時のAIは、白黒がはっきりとした世界を取り込むことが主眼でした。人間の行っていることを白黒はっきりとルールとして書き出してシステム化すれば何でもAIに載ると思われていたのです。
特定分野の専門家の知識を事細かにルールに書き出す膨大な作業を積み重ねれば自動処理ができるというエキスパートシステムが開発されました。ルールベースの仕組みと呼ばれることもあります。
もっとも、人間の知性を代替する原理としては、ルールベースの仕組みには根本的な欠陥がありました。勘と経験のようにルールを書き出すだけでは不可能なグレーな判断は取り込むことができないのです。
バブルが弾けてバブル時代の万能感が醒め、金詰まりの渋い時代に突入すると、AIは一気に懐疑的な目にさらされ予算を削られ冬の時代を迎えてしまいました。この第2次AIブームは、思い切った予算を壮大に食い潰した大失敗という印象を与えてしまったために世界中の研究が停滞してしまいました。
第3次AIブーム ニュートラルネットワークによる機械学習(Machine Leaning)/深層学習(Deep Learning)の発展
しかし、2000年代に入るとITバブルが起き、ドットコム企業が雨後の筍のように登場し、ほとんどが破産したとはいえ一部は強力な成長を始めていました。
これが現在の第3次AIブームの土壌である機械学習(Machine Learning)を育てる孵卵器の役割を果たしたのです。
機械学習とは、人間が介在せず仕掛けだけセットしてデータを処理させ、勝手に放置しておけばコンピュータが何らか法則性を見つけ出してくれる仕組みです。
ドットコム企業はデジタル世界で完結できるので、機械学習を使って見つけ出した法則性をその場で検証することができます。役に立つとなれば、お金が回り始めるので、機械学習は徐々に発展を始めました。
また、第2次AIブームの後、AI研究は冬の時代でしたが、辺境の地では研究が続けられていました。
深層学習(Deep Learning)という最近バズワードになっている手法は、ニューラルネットワークを基にしていますが、2000年頃においては機械学習の数多くある手法の一つでしかありませんでした。
しかも、単層では論理演算を全てこなすことができないことが証明されてしまい世間からはパッとしない存在と認識されていました。
ところが、カナダは伝統的にITでの産学連携が盛んでブラックベリーのような成功例もあることから独自路線を貫いていました。CIFAR(Canadian Institute For Advanced Research)のデータセット拡充も続けられ、トロント大学のジェフリー・ヒントン先生が粘り強くニュートラルネットワークの研究を続けていました。
フランスではヤン・ルカン先生が、生物の視覚神経路をモデルとした階層型ニューラルネットワークであるネオコグニトロンの実装にこつこつと取り組んでいました。
そしてこの粘り強い努力が、AI研究チームが画像認識の精度を競うISLVRCというコンテストで、2012年に2位以下に8%以上の差をつけてのぶっちぎりの勝利につながったのです。
2015年には、AlphaGoが人間の囲碁チャンピオンに勝利し、そこで深層学習が使われていたことが知れ渡ったことにより、世界中で深層学習ブームが起きました。
これが現在の第3次AIブームです。
アメリカも中国も次の時代の基幹技術であるAIをめぐって国家総力戦状態です。特に中国は鄧小平の深慮遠謀が大きく実を結んで好循環に入っています。
スタンフォード大学で深層学習ブームをリードし、百度のAI研トップも務めたアンドリュー・ング先生は有名ですが、ひとりだけではありません。有名なAI論文の共著者には必ずと言って良いほど中国系の研究者が名前を連ねています。
中国共産党の指導により、とにかく試して駄目なら後で締めればokという考え方が敷かれているため、勢いの面では既に中国がアメリカに勝っています。
日本でのAIの状況、データサイエンティスト不要のアドダイスのAIシステムの活用
そのような中で日本はどんな状態だったのでしょうか。一部の研究者が細々と、しかしながら根気よく研究を続け風前の灯火状態だったところに、この数年で急に予算が付き始めて息を吹き返したというのが現状です。
深層学習ブーム自体が2012年頃から始まり本格化したのが2015年以降なので、当初からAIに絡んでいるからといっても最近の深層学習ブームをリードできる人材はごく僅かという状況です。
アメリカや中国のように大戦略に基づいて世論誘導したりしていないので、民間企業ものんびりしていますし、学生も我先にとAI系の研究室を目指すという状態ではないので、人材・需要ともにまだまだこれからの状況です。
そのような状況の中で、IT業者もAIブームに便乗しようとしてデータサイエンティストの獲得競争が起きています。ところが、AIの理解をせずに便乗だけはしようとしているので弊害が出て来ています。
現在の第3次AIブームの本質は深層学習の活用にあるのですが、深層学習が注目されるようになったのはこの数年に過ぎません。もともと機械学習の一つの手法に過ぎず、かつパッとなかったものがニューラルネットワークです。
ですから、経験あるデータサイエンティストだからといって必ずしも深層学習を熟知しているわけではありません。AIの本質を理解していない会社は経営者も営業もよくわかっていないので、善意のままに古くなってしまった人材を超高値で売りつけるという悲劇的な事態が発生しています。
従来のAI手法を使った場合、70~80%の精度に止まってしまいます。アドダイスでは2010年ごろより深層学習の可能性に目をつけて商品開発を進めてきたので90%台の精度を出すことができます。
そしてさらに99.9%を超える精度を安定的に出す仕組みを開発しています。このように独自の世界最先端技術開発ができるのも、経営者が自ら研究開発しているベンチャー企業だからです。
AIといえばデータサイエンティストありきで考えれることも多いですが、実は、日本ではこのような事情もあり深層学習を使いこなせるデータサイエンティストがほとんどいません。
世界中でAIによるビジネスが形づくられる機運の中、日本社会も本物のAIを導入しなければ失われた30年の二の舞になります。
データサイエンティストがいない会社でもAIが導入できる仕組みを提供し日本を救いたい、これがアドダイスの願いです。
日本でも現在の深層学習を支える重要な研究がなされています。1980年にNHK技研の福島邦彦先生が人間の視覚野の働きをモデル化して発表したネオコグニトロンはその一つです。
アドダイスでは、そのような先人の研究を踏まえた、ブラウザだけでAIの学習も運用も可能なSoLoMoNテクノロジーの独自特許を活かし、現場だけで自立運用できるソフトウェアパッケージを開発し、目視検査、自動制御、予知保全のそれぞれ分野で有償サービスとして提供しています。
目視検査にはHORUS AI(ホルスAI)、自動制御と予知保全はSeeGauge(シー・ゲージ)というパッケージを提供し、養蜂業向けにBeeSensing(ビー・センシング)を提供しています。
特定用途に特化したサービスなので、導入すれば効果をすぐ実感できます。
アメリカや中国のように莫大な予算が無くても、データサイエンティストがいなくても、このようなパッケージであればAI化を始めることができます。派手さは無くても確実に効果があるところを固めて、これからの時代も一定のポジションを占める手を打ちましょう!