国際標準規格「IEC63430」セミナー参加レポート ~デジタルヘルスケアの未来を見据えて

2025年3/26水、 センシングIoTデータコンソーシアム主催「デジタルヘルスを加速する IEC63430 国際標準化記念セミナー」に参加してきました。
2025年3/7付の日刊工業新聞にも掲載されましたが、この3月、日本発の国際標準規格として国際電気標準会議(IEC)から国際標準規格「IEC63430」が発行されました。これを記念して開催されたセミナーです。
会場は、大手町の3×3 Lab Future(サンサン・ラボ・フューチャー)。皇居に面した抜群の環境にある、サロン、カフェ、コワーキングスペース、レセプションルーム、キッチンなどで構成されるビジネス拠点です。
5名の皆様のご講演
セミナーでは、まず第1部で経済産業省小太刀課長および広島市立大学田中教授(IEC TC100 / TA18国際議長)から、国際標準規格について詳細なご説明をいただきました。
また第2部では、「ヘルステック市場の拡大と国際標準IEC63430」としてIEC SyC AAL国際幹事 コンソーシアム会長の山田肇様から、そして「逆から考える介護とテクノロジー」として東京未来大学福祉保育専門学校・東京都立産業技術高等専門学校非常勤講師の小林宏気様のご講演をいただき、それぞれ大変興味深く拝聴し、あっという間に時が過ぎました。
当日は会場、オンラインあわせて100名以上のご参加があったとのことで、国際標準規格への関心の高さが伺えました。
セミナーの詳しいプログラムは、こちらでご確認ください。

3×3 Lab futureの「サロン」で開催

展示コーナーで医療機器とスマートウォッチのデータ連携をご紹介
IEC63430 ~PHRセンサデータの「コンテナ化」がもたらす革新
コンテナフォーマット「IEC63430」については、アドダイスは2022年から実証環境に関わっており、様々な活動に参画してきました。
これまでの活動のうち主なものです。
・テストラボ参加レポート「センシングIoTコンテナの標準化に先鞭!」(2022.11.09)
・CEOブログ・日本自動認識システム協会「医療自動認識プロジェクト」で「PHRデータの国際標準規格:コンテナフォーマット」について講演しました!(2024.08.19)
IEC63430は、異なる形式のセンサ信号を「コンテナ」に格納することで、データの標準化と相互運用性を高めるものです。まるで貨物コンテナが異なる形状の荷物をひとまとめに運ぶように、バラバラの信号形式のセンサデータを統一フォーマットで扱えるようになります。

IEC63430 コンテナフォーマットは、規格がバラバラのセンサーデータを「コンテナ」に入れ扱いやすくするイメージ
これにより、医療機器メーカー、AI開発企業、サービス提供者は、データ形式の違いを意識せずに連携・解析が可能となり、より高度で精度の高いデジタルヘルスケアソリューションが実現します。開発企業の人的・物的負担も軽減され、新技術や市場ニーズを迅速に反映した開発につながるでしょう。新規参入のハードルも下がり、良質な競争が起き、市場の活性化も期待できます。
ユーザー(利用者)にもメリットがあります。自分自身の医療・ヘルスケアデータを生涯通じて一元的に管理でき、たとえば救急搬送されたときなど、病歴、投薬歴、健康診断のデータなどを医師が瞬時に確認し効果的な治療が行える、生活習慣病改善のための行動変容に自ら取り組むきっかけとなり健康寿命延伸につながる、など様々なメリットがあります。
超高齢社会において、AAL(Active Assisted Living・自立生活支援)、健康寿命の延伸という観点から、IEC63430はデジタルヘルスケアに大きな革新をもたらすと期待できます。
アドダイスの今後の取り組み
アドダイスが開発する「予兆制御AI(ヘルスケアAI・ResQ AI)」は、バイタルデータなどの生体情報を解析し、潜在的な健康リスク(未病)を可視化する技術です。
IEC63430が普及すれば、異なる信号形式でもスムーズに連携できるため、予兆制御AIはより多様なデータ解析が可能になります。これにより、個々人に最適化された健康維持・向上のための情報提供がより精緻化されることが期待できます。
アドダイスは今後も、AI開発企業として、IEC63430の普及・推進に貢献したいと考えています。私たちは、この国際標準規格がデジタルヘルスケア市場のさらなる活性化と利用者への多様な選択肢提供につながると確信しています。
そして、誰もが自分のライフスタイルに合ったデジタルヘルスケアを選択できる未来を目指し、予兆制御AIによる健康寿命の延伸とWell-beingの向上に取り組んでいきます。
なおPHR(Personal Health Record)データの標準化に関しては、以下の論文が非常にわかりやすいのでお勧めします。ぜひご一読ください。
・SOMPOインスティチュート・プラス掲載論文「ヘルスケア・ウェルビーイングPHRガイドラインの活用により期待される効果 ~サービス品質向上と開発効率化の両立へ~」 上級研究員 岡島正泰様(2024.08.01)
セミナー後は情報交換会にて、ご登壇者および参加者の皆様と大変有意義な時間をすごさせていただきました。
会場と3×3 labo futureも、大変すばらしい場所でした。こういった場所がハブとなって、次世代につながる様々なコラボレーションが生まれるのだなと思いました。主催いただいた皆様には、深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

情報交換会では、3×3 labo futureのキッチンで調理いただいた軽食を提供いただきました。
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